ヨハン・カスパール・ケルル(Johann Caspar Kerll, 1627-1693)はドイツの作曲家、オルガニスト。ケルルの評価は極めて高かった。JS Bachは、Sanctusニ長調BWV 241で、ケルルのミサ曲のサンクトゥス楽章を用いた。JS Bachの他にも、ヘンデル、パッヘルベルなどの著名な大作曲家がケルルの作品から影響を受けた。
現在のドイツ北部にあったザクセン公国出身。ウィーン、ローマで学ぶ。ローマでは、ジャコモ・カリッシミやヨハン・ヤーコプ・フローベルガーに師事したらしい。ブリュッセル、ミュンヘンなどを経て、1674年にウィーンに移り宮廷オルガニストになった。ヨハン・パッヘルベルが弟子になったようだ。ミサ曲Missa In Fletu Solatiumは、オスマン朝による第二次ウィーン包囲戦(1683)による死者のために作曲された。その後、ミュンヘンに戻り、亡くなった。
オルガンとチェンバロ演奏用の数々の作品が残っている。また、ミサ曲、レクイエムなどの声楽曲も優れたものが多く、オペラも作曲したが、散逸したものが多い。