Frei aber einsam

中世、ルネサンス、バロック音楽を楽しむ

オケゲムによる最古のレクイエム

オケゲムのミサ曲。今回は、レクイエム。デュファイもレクイエムを作曲したとされていますが、現存していません。そのため、現存する作曲者のわかっているミサ曲としては、最古のものとされています(グレゴリオ聖歌は別として)。

 

ただこのレクイエムは、Sanctus、Agnus Deiといった後半の部分が欠損しています。Mozartのレクイエムのように、未完成なのではないか、とも言われています。

 

もう一つ、考えなければいけないのは、当時の「死」「多声音楽」というのがどのようなものだったのか、ということでしょう。

 

死は、黒死病などの病気が流行すれば、常に隣り合わせな状態でした。症状が現れると、数日の間に死ぬ。今日元気でも、1週間後には死んでいるかもしれません。これは死生観に大きな影響があったはずです。

 

また多声のミサ曲は、現在でこそ「神聖」というイメージがありますが、実はそういうものとはみなされていなかったのかもしれません。その辺の俗謡やシャンソンをもとにしたミサ曲が多く作曲されたように、ある意味で遊びのような作品だった。そのため、その後の作曲家のように、死者のためにレクイエムを作曲するという動機がなかったのではないか。。むしろ、ジョスカンが作ったオケゲムを送る挽歌のように、独立したモテットの方が悲しみや弔いの意図が込められると考えられていたのではないか。。ということです。

 

ミサ・プロ・デフンクティス(死者のためのミサ曲) Missa pro defunctis

Requiem (Ockeghem) - Wikipedia

 

www.youtube.com