Eton Choirbook (Eton College MS.178)は、イングランドの声楽曲を集めた15世紀後半の写本。
イングランドにおいては、16世紀前半、ほとんどのラテン語の宗教曲は消失してしまったことから、Eton Choirbook、Lambeth Choirbook、Caius Choirbookの3つの写本で当時の音楽を知ることができる。
Eton Choirbookは、時代の異なる24人の作曲家の作品がまとめられており、その規模と内容において極めて重要な資料である。
Eton Collegeで使用するために1500年から1505年の間に作成された。すべての作品はラテン語の声楽曲であり、索引によると93作品があるはずであるが、その内容の一部は失われ、64作品が残っているのみで、更にそのうちのいくつかは未完成である。
24人の作曲家の中では、15世紀後半のJohn Browne(1453-1500?)の作品が最も多く(10)、続いてRichard Davy (9)とWalter Lambe (8)の作品が多い。また、1500年頃のWilliam CornyshとRobert Fayrfaxによる作品もあり、この時期のイングランドの音楽の変遷も観察される。
次回からEton Choirbookの作曲家について順次説明する。