後期ルネサンス音楽を代表する作曲家オルランド・ディ・ラッソ(Orlando di Lasso, イタリア語)、オルランドゥス・ラッスス(Orlandus Lassus, ラテン語)(1532-1594)。
「Super flumina Babylonisバビロンの河のほとりに」というと、パレストリーナ作曲のものが有名ですが、ラッススも2つ作曲しています。
一つ目は、典型的なルネサンスポリフォニーのモテット。
川のように流れるような音楽が美しい。
もう一つは、これとは対照的に流れない、つまづいたような、楽しそうな曲です。Wikipediaでは、Mozartの「音楽の冗談」的な作品だと記述しています。
Super flumina Babylonis, illic sedimus, et flevimus; dum recordaremur tui, Sion.
バビロンの流れのほとりに座り シオンを思って、わたしたちは泣いた。
詩篇 第137篇
ここで、シオンというのは、ユダ王国の中心地であったエルサレムのこと。
新バビロニアのネブカドネザルは、BCE(紀元前)587/586年、ユダ王国を滅ぼした。ユダ王国の人たちは、バビロン捕囚で、エルサレムから遠く離れたバビロンに連れて行かれた。バビロンの流れを前にして、故郷のエルサレムのことを思い泣いた。このとき、故郷のエルサレムの歌を歌えと命令された。故郷の歌など歌えようか。
1 バビロンの川のほとり、そこで、私たちはすわり、シオンを思い出して泣いた。
2 その柳の木々に私たちは立琴を掛けた。
3 それは、私たちを捕らえ移した者たちが、そこで、私たちに歌を求め、私たちを苦しめる者たちが、興を求めて、「シオンの歌を一つ歌え」と言ったからだ。
4 私たちがどうして、異国の地にあって主の歌を歌えようか。