16世紀イングランドを代表する大作曲家Thomas Tallis(c1505-1585)。
今回は、Tallisの代表曲の一つ「大主教パーカーのための詩編曲 Tunes for Archbishop Parker's Psalter」を聴いてみましょう。素朴ですが、透明感に満ちた美しい曲集です。
マシュー・パーカー(Matthew Parker, 1504-1575)は、1559年から1575年までカンタベリー大主教。トマス・クランマーやリチャード・フッカーとともにアングリカン・チャーチの成立に重要な役割をした人物です。
Psalterとは、旧約聖書の詩篇the Book of Psalmsのことですが、これをローカル語(つまり英語)にしたものに、作曲したものがこの曲集です。
- Man blest no doubt (Psalm 1)
- Let God arise in majesty (Psalm 68)
- Why fum'th in sight (Psalm 2)
- O come in one to praise the Lord (Psalm 95)
- E'en like the hunted hind (Psalm 42)
- Expend, O Lord, my plaint (Psalm 5)
- Why brag'st in malice high (Psalm 52)
- God grant with grace (Psalm 67, tune known as Tallis' Canon)
- Come Holy Ghost, eternal God (Veni Creator, tune known as Tallis' Ordinal)
これらのうち特に有名なのが、3曲目のWhy fum'th in sight (詩篇2)で、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズが、タリスの主題による幻想曲を作曲したことで有名になりました。
「なにゆえ、もろもろの国びとは騒ぎたち、もろもろの民はむなしい事をたくらむのか。」
おすすめの演奏は、Stile Anticoの「heavenly harmonies」というアルバムです。