Frei aber einsam

中世、ルネサンス、バロック音楽を楽しむ

2019-01-01から1年間の記事一覧

イギリスの古楽(その25)ヘンリー8世

ヘンリー8世(Henry VIII, 1491-1547)は、テューダー朝第2代のイングランド王(在位:1509-1547)。 6度の結婚などのエピソードとともに、ローマ・カトリック教会から英国国教会を独立させた英国史では重要な王である。絶頂期においては、魅力的で教養があ…

イギリスの古楽(その24)John Taverner

John Taverner (c1490-1545、Tavernorとの記述もある)は、イギリスの作曲家。 16世紀前半を代表するイギリスの作曲家である。現代作曲家ジョン・タヴナー(Sir John Tavener、1944-2013)とはスペルが異なるが、Sir John Tavener自身、若い頃からJohn Tav…

イギリスの古楽(その23)Ambrosio Lupo

Ambrose、Ambrosius、あるいはAmbrosio Lupo (1591没)はイギリスの作曲家。ヘンリー8世の時代からエリザベス1世の時代にかけての宮廷音楽家。 おそらくミラノで生まれ、ヴェネツィアに住んでいた。1540年、彼とLupo家の5人の音楽家がヘンリー8世によってイギ…

イギリスの古楽(その22)Richard Sampson

Richard Sampson (c1470-1554)はイギリスの作曲家。ヘンリー8世とエドワード6世の2代にわたって王室と密接な関係をもち司教となった聖職者。 ケンブリッジのトリニティホール、パリのソルボンヌで教育を受けた。 離婚問題をめぐりローマ・カトリック教会…

イギリスの古楽(その21)Edmund Turges

Edmund Turges (c1450–1500?)は、イギリスの作曲家。おそらくPetworth出身のEdmund Sturges (1507–1508に活動記録) と同一人物。 en.wikipedia.org Eton Choirbook、Caius Choirbook、Fayrfax Bokeの中に作品が残されている。また、Ritson Manuscriptのなか…

イギリスの古楽(その20)Hugh Kellyk

Hugh Kellyk (1480-1490年ごろ活動) はイギリスの作曲家。 2つの作品がEton Choirbookに残る。Eton Choirbookに収録された作品としては初期のものであるとされる。 www.youtube.com

イギリスの古楽(その19)Robert Wylkynson

Robert Wylkynson (Wilkinsonと綴られることもある) (c1450-1515以降) はイギリスの作曲家。 1496年にEtonの教区聖職者になり、1500年に聖歌隊長になった。Eton Choirbookの作品は、非常に大胆なものであると言われる。

イギリスの古楽(その18)William Cornysh

William Cornysh the Young (1465-1523)はイギリスの作曲家。 劇作家 、俳優 、詩人としても活動した。 William Cornyshは、父親(1502没)、そしてその子供(1465-1523)が同名である。 Eton Choirbook (1490年から1502年頃の編纂)には、「William Corn…

イギリスの古楽(その17)Robert Fayrfax

Robert Fayrfax (1464-1521)はイングランドの作曲家。 ヘンリー7世とヘンリー8 世の時代で最も重要な作曲家の一人であり、トーマス・タリス (1505-1585)など、次世代の作曲家に大きな影響を与えたとされる。 en.wikipedia.org 彼はリンカンシャーの ディ…

復活祭前第3日曜日のためのJS Bachカンタータ

今年、2019年の復活祭は4月21日です。少し早めですが、復活祭前第3日曜日のためのJS Bachカンタータ2つ。 これで、「棕櫚の日曜日」(2018年3月)から始まったJS Bachの教会カンタータを教会暦に合わせて聞くというこのブログのシリーズが一巡したことになり…

イギリスの古楽(その16)Walter Lambe

Walter Lambe (1450/1-1504以降)はイングランドの作曲家。 ソールズベリー生まれ。1467年8月に15歳でイートンカレッジのKing's Scholarとなった。 1477年には、アランデルのトリニティカレッジ、その後、ウィンザーのセントジョージチャペルに移った。 Eto…

イギリスの古楽(その15)Richard Davy

Richard Davy (1465-c1507)はイングランドの作曲家。オルガン奏者。 人生についてはほとんど不明。 Davyという姓はイングランド南西部にあるデヴォンDevonに多く、そこの出身である可能性が高い。 オックスフォードのマグダレンカレッジの学者で、1490年に…

イギリスの古楽(その14)Richard Hygons

Richard Hygons (Higons、Huchons、Hugo; 1435-c1509)はイギリスの作曲家。 Richard Hygonsは、ウェルズ大聖堂Wells Cathedralを中心に活動した。1458年に牧師、合唱団員として最初に言及されている。1487年、大聖堂の責任者になった。 1507年になると…

復活祭前第7日曜日のためのJS Bachカンタータ

復活祭前第7日曜日のためのJS Bachカンタータ4つ。 Du wahrer Gott und Davids Sohn BWV 23 汝まことの神にしてダビデの子よ 1723, 2/ 7 Jesus nahm zu sich die Zwölfe BWV 22 イエス十二弟子を召寄せて 1723, 2/ 7 Herr Jesu Christ, wahr' Mensch und Got…

イギリスの古楽(その13)John Browne

ジョン・ブラウン (John Browne, 1453-c1500)はイギリスの作曲家。 Eton ChoirbookとFayrfax Manuscriptに作品が残るが、数は多くない。 Fayrfax Manuscript https://www.jstor.org/stable/960218?seq=1#metadata_info_tab_contents ブラウンの人生につい…

イギリスの古楽(その12)Eton Choirbook

Eton Choirbook (Eton College MS.178)は、イングランドの声楽曲を集めた15世紀後半の写本。 イングランドにおいては、16世紀前半、ほとんどのラテン語の宗教曲は消失してしまったことから、Eton Choirbook、Lambeth Choirbook、Caius Choirbookの3つの写…

イギリスの古楽(その11)John Dunstaple

John Dunstaple (またはDunstable 、c1390-1453)はイングランドの作曲家。 15世紀初期の最も有名な作曲家の一人であり、ルネサンス音楽の始まりとなるブルゴーニュ楽派への礎を築いた重要な作曲家である。 以前は、ダンスタブルDunstableと呼ばれることが…

復活祭前第8日曜日のためのJS Bachカンタータ

復活祭前第8日曜日のためのJS Bachカンタータ3つ。 Gleichwie der Regen und Schnee vom Himmel fällt BWV 18 天より雨くだり雪おちて 1713, 2/19 Leichtgesinnte Flattergeister BWV 181 軽佻浮薄なる精神の者ども 1724, 2/13 Erhalt uns, Herr, bei deine…

イギリスの古楽(その10)Walter FryeとJohn Hothby

15世紀の中頃に活動したWalter FryeとJohn Hothbyについて。 ワルター・フライ(Walter Frye, ?-1474?)は、イギリスの作曲家。 イングランド出身。生涯については不明、1474年の遺言が残っている。その作品は、イングランドではなく、大陸側で見つかってい…

復活祭前第9日曜日のためのJS Bachカンタータ

復活祭前第9日曜日のためのJS Bachカンタータ3つ。 Nimm, was dein ist, und gehe hin BWV 144 おのがものを取りて、行け 1724, 2/ 6 Ich hab in Gottes Herz und Sinn BWV 92 われは神の御胸の思いに 1725, 1/28 Ich bin vergnügt mit meinem Glücke BWV 8…

イギリスの古楽(その9)Contenance angloise

Contenance angloiseイングランド様式は、 15世紀イギリスに見られた多声音楽のスタイルで3度と6度の和音の使用に特徴がある。 大陸側のブルゴーニュの宮廷や教会音楽に大きな影響を与えた。 John Dunstaple(Dunstable)、Walter Frye、John Hothbyといった…

顕現節後第4日曜日のためのJS Bachカンタータ

JS Bachの教会カンタータ。今回は、顕現節後第3日曜日のためのBWV 156と顕現節後第4日曜日のためのBWV 81とBWV 14です。個人的には、BWV 156のカンタータは好きです。 Ich steh mit einem Fuß im Grabe BWV 156 わが片足すでに墓穴に入りぬ 1729, 1/23? (顕…

イギリスの古楽(その8)Thomas Damett

Thomas Damett (1389 - 90?-1436/1437)はイギリスの作曲家。 ウィンチェスター大学で学び、StocktonでRector(教区牧師)となった。セントポール大聖堂やウィンザー城のセントジョージ礼拝堂でも活動した。Old Hall写本にミサ曲の断片、モテットが残る。 ja…

イギリスの古楽(その7)Leonel Power

Leonel Power (または、Lionel、Lyonel、Leonellus、Leonelle Polbero 、 1370〜1385-1445)はイギリスの作曲家。 John Dunstapleとともに15世紀初頭を代表するイギリスの作曲家。 人生についてはほとんど不明。カンタベリー大聖堂の合唱団を指導していた。…

イギリスの古楽(その6)Roy Henry

Roy Henry ( "King" Henry)(1410年頃)はイギリスの作曲家。イギリス王だったことは間違いがない。ヘンリー5世であると考えられるが、ヘンリー4世である可能性も残されている。オールドホール写本の中に2つの作品(GloriaとSanctus)がある。 en.wikipe…

顕現節後第3日曜日のためのJS Bachカンタータ

顕現節後第3日曜日のためのJS Bachカンタータ3つ。 Herr, wie du willt, so schick's mit mir BWV 73 主よ、御心のままに、わが身の上になし給え 1724, 1/23 en.wikipedia.org Was mein Gott will, das g'scheh allzeit BWV 111 わが神の御心のままに、常に…

イギリスの古楽(その5)Pycard

Pycard (Picard、Picart、14c後半-15c初頭)は、イギリスで活動したおそらくフランス人の作曲家。 1390年代にJohn of Gauntのもとで'Jehan Pycard alias Vaux'として働いていたと推測されている。Old Hall Manuscript (大英博物館, Additional MS 57950)に掲…

イギリスの古楽(その4)Sumer Is Icumen In

「 Sumer Is Icumen In 」( Summer CanonあるいはCuckoo Songとも呼ばれる)は、13世紀半ばの中世イングランドのRoundラウンドまたはRotaロタ。Rota、Roundとは、輪唱(カノンCanon)である。 en.wikipedia.org 「Summer Has Come In」、「Summer Has Arriv…

イギリスの古楽(その3)Sarum Chant

セーラム典礼(Use of Sarum, Sarum Rite, Use of Salisbury)とその聖歌(セーラム聖歌 Sarum Chant)は、ローマ典礼に基づき、イングランドのソールズベリー大聖堂において独自に用いられた典礼。 11世紀に始まり13世紀に成立した。16世紀、離婚問題をきっか…

イギリスの古楽(その2)Johannes Alanus

Johannes Alanus (14c後半または15c初頭)はイギリスの作曲家。 彼の作品としてよく知られているのは、モテット「Sub arturo plebs」である。なお、Johannes Alanusと混同されてきたAleynというOld Hall Manuscriptに出現する作曲家は別人である。 Aleyn - …